2. 「計算」と「記憶」の二本柱

コンピューターの世界は、日進月歩で進化しているように見えます。毎年のように新しいスマートフォンが登場し、AIの性能は数ヶ月単位で塗り替えられ、次々と新しい専門用語が生まれては消えていきます。その目まぐるしさに、「すべてを追いかけるのは無理だ」と圧倒されてしまう人も少なくないでしょう。

しかし、安心してください。どれほど技術が複雑化しようとも、コンピューターがやっていることは、誕生したその日から今日に至るまで、たった二つのことに集約されます。

それが、「計算」「記憶」です。

この二つこそが、すべてのデジタル技術の原点であり、揺るぎない二本柱です。

ここでいう「計算」とは、私たちが学校で習う算数や数学のイメージに非常に近いです。1に1を足したら2になる、数字と数字を比べてどちらが大きいかを判定する。そうした処理を、人間の追いつけない超高速で行う機能のことです。

そしてもう一つの「記憶」とは、計算するために必要な数字や、計算した結果のデータを一時的、あるいは長期間にわたって保存しておく機能です。

驚くべきことに、現代の私たちが恩恵を受けているデジタル技術のほぼすべて――インターネットでウェブサイトを見ることも、SNSに写真を投稿することも、動画配信サービスで映画を楽しむことも、オンラインゲームで世界中の人と対戦することも――すべては、この「計算」と「記憶」の果てしない組み合わせだけで成り立っています。

動画を再生することを例に挙げてみましょう。画面に映る美しい映像は、コンピューターにとっては単なる膨大なデータの塊、つまり「記憶」されたデジタルデータです。コンピューターはそのデータを読み込み、1秒間に何十回もの超高速で「このピクセル(画素)は何色に光らせるべきか」を「計算」し、画面に出力しています。

AIもまったく同じです。AIは、過去の膨大な文章や画像の特徴を「記憶」しており、私たちが質問を投げかけると、その記憶を総動員して「次に続く確率が最も高い言葉は何か」を猛烈なスピードで「計算」しているにすぎません。

どんなに高級で複雑に見える料理も、突き詰めれば「火を通す(加熱)」と「味を付ける(調味)」という基本動作の組み合わせであるように、デジタル技術という名の複雑な料理も、その本質は「計算」と「記憶」という二つの調理法しか使っていないのです。

この二本柱の仕組みさえ押さえてしまえば、一見すると難解なAIの最新技術も、「これは計算と記憶をどう応用しているのだろう?」というシンプルな視点で、すっきりと見通せるようになります。

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